director's voice

角舘徳子さん/こぎん刺し

コルトン広場での出展、14作家のご紹介をしてきました。
ここからは、ニッケ鎮守の杜の出展作家からのメッセージをお届けいたします。

Q1
青森県出身で、弘前大学を卒業後に「弘前こぎん研究所」に就職、
その後若くして作家として立った角舘徳子さん。
「工房からの風」に初めて出展くださったのは、2014年のこと。
ちょうど10年になるんですね。
その間、さまざまな時を重ね、ぐるり、一巡りしてこの場に戻ってきてくださいました。
角舘徳子さん、今回の「工房からの風」には、どのような出品をされますか?

A1
こぎん刺しという青森県津軽地方に伝わる刺し子を出品いたします。
布目を規則性を持って刺し埋め、布に強度と保温性を持たせる刺繍です。

今回「工房からの風」に向けて制作するにあたり、古作の模様を刺してみることにしました。
古作模様のなんとシンプルで華やかなことか、そして現代まで残ってきた模様のは刺しやすさと強い美しさに改めて気付くことができました。
以降は古作へのリスペクトを持って模様を選び、合わせて、過去の方とのコラボレーションが嬉しく制作しています。
模様の広がりや綿糸のもつふくよかさを、みて、触れていただいた方にも、楽しんで頂けましたら幸いです。


岩木山ポーチ


名刺入れ

Q2
角舘徳子さんが12歳のころ、将来なりたかった職業について教えてください。

A2
漫画家になりたかったです。
絵を描くことが大好きでしたし、自分ではない者のストーリーを作って追ってゆくことも好きでした。
あとお家が大好きなので、在宅の仕事に憧れていたことも大きかったです(笑)。

現在は、自分の刺したこぎんを使っていただく方の生活(ストーリー)を思い浮かべながら、わくわくと制作しています。
遠からず、幼い頃の夢が叶っていることに喜びを感じています。

そういえば、2014年、初めていただいた応募用紙には、オリジナルの漫画が同封されていました!

若くして直感的こぎんに惹かれ、その世界にのめりこみながらも、自由な表現を抑えきれないエネルギーを持て余していた徳子さん。
いっとき、こぎんから離れ、アスリートな世界や、絵画表現などにも取り組んでいらっしゃいました。
そして、出産を経て、鮭がうまれた川に戻ってくるように、再びこぎんを刺し始められたのでした。

今、徳子さんは、こぎんを刺すのが楽しくて仕方ないとおっしゃいます。
自由がないようで実は無限の自由な世界を有するこぎん刺しの世界。
そのただ中で伸びやかに呼吸をするように刺されたこぎんは、2014年には未だ見ることができなかった深い美しさを湛えています。

今回、風人さんが6人の出展作家の文章を通じて、より深く作家紹介、工藝、ものづくりの世界への誘いの取り組みをしています。

角舘徳子さん(こぎん刺し)
Taller Uraraka さん(型染め布)
hada makotoさん(木工・ブローチなど)
吉田欣司さん(木工・器)
dairokuさん(陶芸)
川端マリコさん(木工・匙)

こちらは、あらためてお伝えいたしますね。

角舘徳子さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入ってすぐ左側。
小高い丘のような空間にこぎん刺しがそよぎます。

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